植物由来のバイオマスマテリアルを低コストかつ塗装レスで外観部品を成形できる技術開発
環境意識の高まりとともに、植物由来のプラスチック(バイオマスマテリアル、バイオプラスチック)への期待はますます高まっています。しかし、その射出成形には特有の難しさがあり、特に美しい外観部品を塗装なしで仕上げることは、従来の技術では困難とされてきました。
植物由来プラスチック成形の「壁」
一般的に、植物由来のプラスチックはでんぷん由来であり耐久性も概して高いのである程度の汎用性は持ち合わせていますが、一方で、石油由来のエンジニアリングプラスチックと比較して、以下のような課題を抱えています。
- ● 不安定な流動性
- 溶融時の粘度変化が大きく、成形時の制御が難しい。
- ● 繊細な温度管理
- 熱分解しやすい特性があるため、焼付きや変質のリスクが高い。
- ● 結晶化の制御難度
- 成形後の物性(特に耐熱性)を安定させるための結晶化が起こりにくい。
- ● 物性の調整の複雑さ
- 耐熱性や耐衝撃性が低く、これらを向上させるためのアロイ化やコンパウンドの技術が必要。
- ● 金型からの離型性
- 成形後の製品が金型から剥がれにくい場合があり、生産性にも影響する。
これらの課題は、製品の寸法精度や物性、そして何よりも外観品質に大きく影響します。
具体的には、例えばリブの裏側がヒケてしまう、あるいはウェルドラインが発生してしまうなどの現象が発生しますが、こういった形状や寸法への対策としては、ウェルドラインの場所のコントロール、シボを入れるなどの形状変更などで対応したり、あるいは金型代は高くなりますが、部分的にヒーターを入れる、あるいはヒートアンドクールという手法を用いることで解決することは可能です。
しかし、成形品の表面状態は一般エンプラと比較すると十分とは言えず、これまでは多くの場合、コストのかかる塗装工程で補われてきました。これでは環境負荷低減というバイオプラスチック本来の目的が半減してしまいます。
塗装レスで実現する革新的な外観品質
そこで株式会社御幸では、グループ会社の富士部品工業との共同開発で、これらの「壁」を乗り越え、
低コストかつ塗装なしで外観部品を成形できる革新的な技術を開発しました。

これまでの植物由来プラスチック成形における豊富な経験と独自のノウハウを積み重ねることで、私たちは以下のことを可能にしました。
- ● 精密な温度・圧力制御
- 材料の特性を最大限に引き出すための、ミリ秒単位での温度・圧力調整技術。
- ● 独自金型設計技術
- 金型からの製品剥離性を高め、美しい表面仕上げを可能にする精密な金型設計。
- ● 最適な材料選定・改質技術
- お客様の製品要求に応じた、最も適した植物由来プラスチックの選定、または必要に応じたコンパウンド(複合材化)により、優れた物性と外観を両立。
- ● 熟練の成形技術者によるノウハウ
- 長年の経験で培われた職人技と、最新のシミュレーション技術を融合。
この技術により、成形品は塗装なしでも均一で滑らかな表面品質を実現し、外観部品としての十分な美しさを備えます。
低コスト化と環境負荷低減への貢献
また、塗装工程を不要とすることで、以下のような大きなメリットが生まれます
- ● コスト削減
- 塗装にかかる材料費、人件費、設備費、廃棄物処理費などの大幅な削減。
- ● リードタイム短縮
- 塗装工程がなくなることで、生産サイクル全体が短縮され、市場投入までの期間を大幅に圧縮。
- ● 環境負荷低減
- 塗装によるVOC(揮発性有機化合物)の排出削減、廃棄物削減に貢献。
- ● サステナブルなものづくり
- 環境に優しい植物由来プラスチックを、さらに環境負荷の低いプロセスで製品化。
株式会社御幸は、この独自の技術力で、お客様の製品開発を強力にサポートし、環境とコストの両面で貢献してまいります。植物由来プラスチックを用いた製品開発をご検討でしたら、ぜひ一度ご相談ください。