PBTとは
PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂とは、ポリエステル系に分類される代表的なエンジニアリングプラスチック(エンプラ)です。
電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、機械的強度をバランスよく備えています。
吸水率が低く、吸湿による寸法変化が小さい点が強みで、ガラス繊維強化グレードでは荷重たわみ温度(1.82MPa)が200℃以上に達します。
結晶化が速いため成形サイクルが短く、生産性にも優れています。
一方、高温高湿環境に長期間さらされると加水分解によって物性が低下しやすいため、そうした用途では耐加水分解グレードを選定します。
主な用途としては、自動車のセンサー・コネクタなどの電子制御部品、精密電化製品の内部機構部品、産業機器のスイッチ類などが挙げられます。
PA(ナイロン)では吸湿による寸法変化が懸念され、かつPPSほどの耐熱性やコストは必要としない場面で、性能とコストのバランスに優れた有力な選択肢となります。
PBT樹脂が採用される部品
PBT樹脂は、電気絶縁性、耐熱性、吸湿による寸法変化の小ささ、優れた成形性を生かし、高い品質基準が求められる自動車部品や電気・電子機器部品などで幅広く採用されています。
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自動車・電装部品
車載用コネクタ、ECU(電子制御ユニット)のケース・カバー、クランク角センサーやABSセンサーのハウジング、イグニッションコイルケースなどに用いられています。
狭ピッチの端子を精度よく保持できる寸法安定性、エンジンルーム内の高温に耐える耐熱性、オイルなどへの耐薬品性が評価され、PA66と並ぶ主要な材料の一つとなっています。
ただし、高温高湿や被水にさらされる部位では加水分解による物性低下が起きやすいため、耐加水分解グレードが用いられます。 -
電気・電子機器部品
リレーケースやスイッチ部品、電源プラグ・ACアダプタの内部絶縁部品(プラグ刃の保持部品、トランスボビンなど)、電子機器用冷却ファンの羽根・フレームなどに採用されています。
通電時の発熱に耐える耐熱性と電気絶縁性があり、難燃グレード(UL94 V-0)が豊富なので、UL規格などの安全規格に対応しやすい点が強みです。
また、結晶化が速いため、小型・薄肉の精密部品を効率よく量産できます。 -
産業機器部品
電磁弁(ソレノイドバルブ)のコイルボビンや端子台(ターミナルブロック)などに用いられています。
採用理由は、巻線時の張力や連続通電による発熱に耐える強度・耐熱性、多極・高密度な形状を精度よく成形できる成形性、難燃性です。
一方で、B種(130℃)を超える高温のコイルにはPPSやLCPが選ばれます。
また、ネジ締めなどの応力に対する粘り強さを重視する端子台にはPA66が選ばれるなど、要求条件に応じて他材料と使い分けられています。
PBT樹脂の成形でよくある課題
PBT樹脂は結晶性で、ガラス繊維(GF)で強化して使用されることが多いため、成形時には以下のような課題が発生しやすくなります。
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異方性による「そり・変形」
GFが樹脂の流れ方向に配向するため、流動方向と直角方向で成形収縮率に大きな差(異方性)が生じ、そりや変形が発生します。
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乾燥不足による「加水分解」
PBTは吸水率が低い樹脂ですが、ペレットは保管中に水分を吸います。
予備乾燥が不十分なまま成形すると溶融時に加水分解が起き、外観に変化がなくても脆化や強度低下を起こします。
シリンダー内での滞留時間が長すぎる場合も、熱分解によって同様の劣化が起こります。 -
インサート周辺の「割れ」
金属ピンなどをインサート成形すると、冷却時の収縮によって樹脂側に引張の残留応力が生じます。
さらに、使用時の冷熱サイクルで線膨張係数の差による応力が加わるため、薄肉部やコーナー部、ウェルド部からクラックが発生しやすくなります。 -
結晶化不足による「後収縮」
金型温度が低いと結晶化が不十分なまま成形され、使用中の加熱で結晶化が進み、寸法が変化します。
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モールドデポジット(金型汚れ)
成形時に発生するガスや添加剤の成分が金型に付着し、連続成形で外観不良や寸法のばらつきにつながります。
難燃グレードで発生しやすい傾向があります。
金型設計・成形におけるポイントと当社の提案
GF強化PBTの金型では、そりを抑えるゲート配置と均一な冷却設計、インサート周辺の樹脂肉厚の確保とウェルド位置の検討、結晶化を促す金型温度の管理、ガスベントによるガス対策が品質安定のポイントです。
さらに見落とせないのが金型の摩耗です。硬いガラス繊維は成形のたびにゲートやキャビティ表面を削るため、プリハードン鋼の金型ではバリや寸法ずれが早期に発生します。
そのため量産金型では、製品部に焼入鋼を用いるのが基本です。摩耗しやすいゲート部を入子構造にすれば、部分交換で補修できます。
ただし、焼入鋼は加工が難しく熱処理によるひずみも生じるため、高精度に仕上げるには技術が必要です。
当社は焼入鋼の加工技術に長年取り組み、切削時の発熱や工具のたおれ、ワークのひずみまで考慮して加工条件を最適化してきました。
高速マシニングセンタや放電加工機を活用し、高精度な焼入鋼金型を短納期で製作します。
初期費用は上がりますが、修理や金型更新の頻度が減り、量産全体のトータルコストを抑えられます。
量産開始後の修理・メンテナンスにも対応し、長期の安定生産を支えます。
試作から量産まで一貫して対応しますので、お気軽にご相談ください。
PBT樹脂 製品事例一覧
PBT樹脂についてよくある質問
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